

設計
survival design 須永 豪
+ KOFUSHA
所在地
東京都目黒区
主要用途
専用住宅
家族構成
夫婦・子供1人
敷地条件
第一種低層住居専用地域
第一種高度地区
準防火地域
絶対高さ10m
道路幅員
4.5m
工程
設計期間
2002年12月〜2003年8月
施工期間
2003年8月〜2003年12月
構造・工法
RC造+木造
基礎
ベタ基礎
規模
地上2階+地下1階
敷地面積
52.00m2 (15.73坪)
建築面積
30.22m2 (9.14坪)
58.11% (許容60%)
ロフト床面積
3.72m2 (1.12坪)
2F床面積
30.22m2 (9.14坪)
1F床面積
28.00m2 (8.46坪)
B1F床面積
28.00m2 (8.46坪)
容積対象
78.09m2 (23.62坪)
延床面積
65.17% (許容80%)
施工床面積
86.69m2 (26.22坪)
工事費
1,800万円 (68万円/坪)
目黒の住宅密集地にポッカリ空いた大きな空地。数百年前からここにあったのであろう、揺るがぬ力を秘めた巨木が大空に枝葉を広げ、光と風を受けてさわさわと揺れている。都市に取り残されたアンバランスなこの空地は、先人たちの眠る墓地である。
都市では宅地は切り売りされ、細分化された土地には住宅が集積回路のように詰め込まれている。15坪程の狭小敷地では建物の周囲にグルッと50cmのスキマをとるだけで建蔽率は消化され、・斜線制限のギリギリまで膨張した箱がそれぞれ勝手に建ち並んで無秩序な街が形成されていく。陽の光とともに寝起きし大地を吹き抜ける風を感じるというような人間的な住環境を見つけることは、もはや都市においては難しくなってしまった。
墓地に隣り合うこの敷地を初めて訪れたとき、都市に住むにあたってはもはや望めなくなった緑・光・風・空がここには豊かにあるということに驚いた。そして、時間の流れそのものが住宅街のそれとは違うことにも気がついた。都市生活者のこまごまとした動きや街の新陳代謝とは無縁に、この墓地だけはきっと100年後も変わらずにポッカリ空地を残していることだろう。そのおおらかな時間と安心感がこの場所には漂っていた。今を生きる者が窮屈な都市に詰め込まれ、その隣では眠る先人がゆったりと時を過ごしている。それは矛盾のようにも感じるが、いっそのことこのアンバランスな空地は今を生きる人へ先人からのプレゼントであるとらえてしまえば、墓地と隣あう・・・こんなに豊かな『住環境』はない。墓地の風景は隠さずさりげなくぼかす程度にして、この大いなる風景をしばし借りることにした。
死とユーモアを持って付き合うために、この住まいには空に昇る階段が掛けられた。玄関を開けるとポッカリと浮かんだ空が見える。住宅地と墓地とをつなぐようにして赤い光の点が空へといざなう。夕暮れに浮きあがるフェイスマークは密集した住宅街の一員として投げかけた和解のしるしである。
墓地と隣り合うこと、それは人間が大いなる歴史に守られしばしこの地に寄せさせてもらっているだけなのだということを改めて感じさせてくれた。