What's

サバイバル?

いま、私たちはとても恵まれた時代に生きています。
獣から襲われることもなく、収穫がなくてひもじくお腹をすかせていることもなく、
きっと明日も、平らな床の上で生きていることでしょう。

一方でいろいろ複雑な世の中でもあります。
時代や・社会・地球環境のことと無関係ではいられませんし、
大地震のこと、化学物質のこと、お金のこと、など、安全に生きていくための新しい心配事も増えています。
「安心して私らしく生きていく」たったそれだけのささやかな願いが、どうしてこうも難しいのでしょう。
でもほんとうは、建築にできることは沢山あるんです。

私たちの人間らしい「サバイバル」ってどんな生き方だろう?
無意識のうちに感じていた問いが、事務所の名になりました。

一生つかえる建物を、と考え続けた末に

断熱材のいらない建物をつくるようになりました。壁も屋根も木で全部詰まった"100%の木造"。
結露が無ければ腐りにくく、将来の大地震でもしっかり耐えることでしょう。
シンプルで頑丈な工法ながら普通の建築コストでできます。
しかも日本の山林には出番を待っている木が溢れているのですから、
国産の自給材を使い後ろの世代や途上国に負の遺産を押し付けないのは当然のこと。
「自分のため」と「みんなのため」は両立できるはずです

現代的な暮らしは、まだ分からないことだらけ

建築に期待するのはまずは『安全』でしょう。
ふくれあがってしまった都市部での大地震、先の見えない異常気象、
危険性を指摘されながらも放置されている電磁波の問題などに危機感を感じています。
大地震を見越して効果的で安価な減震材を建物下に敷いたり、
内装材は素性の知れた自然のもの、電気のコンロや暖房は避け配線も注意深く扱うなど、
未知の問題に対ししておけることを日々探求し、設計を進化させ続けています。

楽器のように、建築もつくりたい

バイオリンやギター、アコースティックな楽器はみな、
すべての部位・パーツが影響し合い、調和してそれぞれ固有の音色を響かせます。
建築もまた空間と素材による「共鳴する殻」にしたいと思います。
その空間と中の人が発する気配とが影響し合い、調和し、反射し、
いくつもの音が重なって豊かな和音となるような、アコースティックな建築をつくっていきたいと思います。
その結果として表れるものが『デザイン』ではないかと思います。

著書の「住宅作家になるためのノート」では、古今様々な建築を分析する中で見えてくる、
これからの世代への住宅の在り方を、私なりの切り口で提案しています。
こちらもご一読いただければと思います。

生きてくために本当に必要なもの

いい建築は、人を幸せにも健やかにもします。
写真に写せない感動があることを、多くの人に体験して知ってほしい。
いままでは住宅や店舗を多く手掛けてきました。
今後はそれと平行して、誰でも利用できる場も設計していこうと思います。
たとえば街の診療所や小さな宿泊施設、お寺など。
朝、闇が解け日が昇り、西の空が黄金色に染まり暮れていくまでを、
ゆっくり何もせずに空間・時間を味わい人生への想いを巡らし、活力を取り戻す場。

建築は静謐で素朴な器でありたいと思います。晴れの日もあれば雨のときもあります。
雨の音を静かに味わえる器をつくりたいと思います。

2010.03.31 須永 豪


その2へ続く↓