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Dolls 北野武 2002/11/16 新宿ピカデリー2
 評論を読んだら、『愛』とか『純愛』っていっぱい書いてあった。
サブイボ出ちゃった。

 この映画は、紐でつながれた美しい男女が、満開の桜並木を抜けていく
そういう映像だけのイメージが先にあって、物語はそれをを成り立たせるために、後からつけられたという気がする。
 確かに、その絵の美しさは、それはもう言葉では到底表現できない美しさだった。
ただ、テレビコマーシャルとか特番で、美しいシーンは全部もう見ちゃっていて、新鮮な驚きはなかった。
予備知識なしで、まっさらな頭で見てたら、感動のサブイボ出っ放しだっただろうに。
勿体ないことをした。

 北野武は、いつも物語が乾いている感じがする。
冬の湖に張った、うすーい氷のような。
不純な物が混ざらない、限りなく透明な純粋さと、硬さと、その硬さゆえの脆さと、触れれば身が切れる鋭さ。
『情感豊か』とは正反対にあるような淡々とした物語。
でもその淡々さが冷淡といってもいいほどに徹底しているから、ある瞬間人の心が表に出る場面があったりすると、すっとこちらの心に深く入ってきてしまう。
そういえば、彼はインタビューで、
「暴力をしっかり描かないと、愛情も描けない。片一方すごく極端なことをしていないと、その反対側は見えてこない。」と語っていた。

 彼の映画は、希望の光に満ち溢れてはいないけど、人が生きてることの美しさは、痛いほど心に染み込んでくる。
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